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AIガバナンス認証「C認証」は中小企業も取るべきか【2026年8月運用開始】審査4項目の使い方

JDLAが2026年8月4日に運用を開始したAIガバナンス第三者認証「C認証」。業種・規模を問わず全法人が対象ですが、中小企業が今すぐ取るべきかは別問題です。制度の中身と、認証を取らなくても審査4項目を社内ルールのチェックリストとして使う方法を整理しました。

佐野 泰規佐野 泰規株式会社Stella Creation 代表取締役8分で読めます
額に入った認定証と、開いた台帳・万年筆・ルーペが置かれたデスク
Pexels / Pavel Danilyuk

この記事でわかること

  • C認証は2026年8月4日に一般申請の受付が始まった第三者認証。業種・規模を問わずすべての法人が対象で、法人単位。有効期間は2年
  • 審査するのは①利用するAIの把握②リスク対応組織の設置③リスクアセスメント④リスク対応の4指標。AIモデルの性能ではなく「組織としての管理の仕組み」を見る
  • 費用は企業規模により異なり公開されていない。準備1〜2か月+審査最短1か月なので、取るなら3か月前から動く
  • 認証を取らなくても、この4項目は社内AIルールの無料チェックリストとして使える。多くの中小企業にはこちらが先

「うちもこれ、取らないとマズいですか?」——2026年8月4日にJDLAの新しい認証制度が始まってから、この質問を3件いただきました。ニュースの見出しだけ見ると、AIを使う会社は全部対象に見えますからね。

先に結論を言います。**大半の中小企業は、今すぐ取る必要はありません。**ただし「だから無視していい」ではなくて、**審査項目は今日から使えます。**そこが今回いちばんお伝えしたいところです。

本記事は2026年8月18日時点の公開情報に基づいています。制度の詳細は変わり得るので、最終確認はJDLAの公式ページでお願いします。

AIガバナンス認証「C認証」とは何か

まず定義を1文で。**C認証とは、企業や自治体のAIガバナンス体制が一定の基準を満たしていることを、JDLAが第三者として認証する制度です。**AIそのものの性能を測る試験ではありません。

JDLAの発表にはこうあります。

企業や自治体がAIを安全かつ継続的に利活用するために必要なAIガバナンスに焦点を当てたJDLA独自の認証制度

業種・規模を問わず、AIを開発・提供、または業務で利用・導入するすべての法人(民間企業、自治体その他の公法人を含む)

——一般社団法人日本ディープラーニング協会「AIガバナンス第三者認証制度を創設『C認証(AI Governance Core Certification)』を8月4日から運用開始」(2026年8月4日)

基本情報を表にまとめます。

項目内容
正式名称C認証(AI Governance Core Certification)
実施主体一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)
一般申請の受付開始2026年8月4日
対象業種・規模を問わずすべての法人(自治体・公法人を含む)。法人単位
審査対象個別のAIモデルの性能ではなく、組織としての管理の仕組み
有効期間2年間
所要期間申請前準備1〜2か月+JDLAの審査・認証が最短1か月程度
費用公開されていない(企業規模により異なる。資料請求が必要)
申請方法認定コンサルティング企業の支援を経てJDLAへ申請

先行取得企業として9社(ABEJA、富士ソフト、Elith、ステッチ、Algomatic、経営共創基盤、キカガク、EY新日本有限責任監査法人、Rosso)が公表されています。顔ぶれを見ると、AIを提供する側の会社が中心です。ここが判断のヒントになります。

中小企業は取るべきか

私の結論は「今は取らなくていい会社が多い。ただし例外が3つある」です。

理由はシンプルで、費用が公開されていないからです。「企業規模によって異なります」としか書かれておらず、資料請求をしないと予算感すら掴めない。この時点で、取引上の必要が明確にない会社が先回りして動くコストに見合いません。

取る価値が高いのは、次の3つに当てはまる場合です。

  1. 大企業と取引していて、AI利用に関する調査票が回ってきている — 取引先のサプライヤー審査でAIガバナンスを問われ始めているなら、認証は説明コストを一気に下げます
  2. 自治体・公共案件の入札に出ている — 公法人も対象に含まれる制度なので、評価項目に入ってくる可能性があります
  3. 自社がAIを「提供する側」 — AI機能を載せたサービスを売っているなら、先行9社と同じ理由で効きます

逆に、社内で生成AIを業務利用しているだけの会社であれば、優先度はそこまで高くありません。認証より先にやることがあります。

認証を取らなくても、審査4項目は今日から使える

ここが本題です。C認証が審査するのは、次の4つの指標です。

  1. 利用するAIの把握
  2. リスク対応組織の設置
  3. リスクアセスメント
  4. リスク対応

この4つ、**そのまま社内のチェックリストになります。**しかも費用はゼロです。中小企業の現場に翻訳すると、こうなります。

審査指標中小企業なら、まずこれをやる完了の目安
①利用するAIの把握社内で使われているAIツールを全部書き出す。契約しているものだけでなく、社員が個人アカウントで使っているものも含めて聞き取る1枚の表になっている
②リスク対応組織の設置「AIのことは誰に聞けばいいか」を1人決めて、社内に周知する。専任である必要はない名前が全社に共有されている
③リスクアセスメント業務ごとに「入れてよい情報/だめな情報」を仕分ける。顧客の氏名・連絡先、未公開の見積、人事情報あたりが典型線引きが文書になっている
④リスク対応③で決めた線引きを、実際に社員が守れる状態にする(周知・研修・確認)全員が説明できる

やってみると分かりますが、①で大半の会社がつまずきます。「うちはChatGPTだけです」と言われて聞き取りをすると、部署ごとに別のツールが出てくる。無料版を個人アカウントで使っている、いわゆるシャドーAIですね。経営側が把握しているツール数と実態が合っている会社を、私はまだあまり見たことがありません。

そして②は、専任者を置けという話ではないのがポイントです。総務の方が兼任でも構いません。決まっていないと、社員が判断に迷ったときに誰にも聞けず、結局「まあ大丈夫だろう」で入れてしまう。それが一番まずい。

④「リスク対応」の実体は、結局のところ社員教育です

①〜③は書類仕事なので、腰を据えれば1〜2週間で形になります。難しいのは④です。

ルールを作っても、現場が守れなければ意味がありません。しかも「顧客情報を入れるな」だけでは足りない。実務では**「どこまでがセーフか」の判断が毎日発生する**からです。取引先名は伏せたが業界と規模を書いた要件、社内の議事録、まだ公開していない価格表——このあたりの線引きは、ルールの読み合わせだけでは身につきません。

だから研修が要る、という話に落ち着きます。手前味噌に聞こえるかもしれませんが、①〜③を整えた会社ほど、最後に「で、これをどう社員に落とすか」で止まります。弊社のAI研修でも、ここのご相談が一番多いです。

助成金は使えるのか(ここは慎重に)

「AIガバナンス研修は助成金の対象になりますか」と聞かれます。**断定はできません。**2026年8月3日に人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の支給要領が改正され、職業人として共通して必要な内容や、職務に間接的にしか必要でない内容が対象外になったためです。

「全社員向けAIリテラシー研修」という括り方だと、この改正で外れやすくなりました。逆に、対象労働者の特定の職務に直接必要で、訓練後の業務で具体的に活用できる内容として設計できれば、検討の余地はあります。改正の中身は2026年8月3日改正のポイントにまとめました。

いずれにせよ、助成金は訓練開始前の計画届の提出が前提で、支給申請時に審査があります。「受給できます」と言い切る業者には気をつけてください。必要書類の全体像は助成金に必要な社内書類をご覧ください。

最初の30日でやること

認証を取る・取らないを決める前に、この順番で進めるのが安全です。

やること
1週目社内のAIツール棚卸し(①)。部署ごとにヒアリング。無料版・個人アカウントも漏らさない
2週目相談窓口を1人決めて周知(②)。あわせて「困ったらまず聞く」を明文化
3週目入れてよい情報/だめな情報の線引きを文書化(③)。A4で1枚に収める
4週目全社への周知と、判断に迷う具体例の共有(④)

ここまでやってから、改めて「認証は必要か」を考える。そのとき①〜③の成果物がそのまま申請準備になっているので、**取ると決めたときの準備期間も短くなります。**無駄になりません。

制度が新しく始まると、どうしても「取らないと遅れる」という空気になります。ただ、C認証は運用開始からまだ2週間です。取引先から求められていないうちは、中身を先に整えるほうが順序として正しいというのが、今の私の判断です。


出典(2026年8月18日閲覧。制度の詳細は変更され得ます)

よくある質問

C認証とは何ですか?
JDLA(日本ディープラーニング協会)が2026年8月4日に一般申請の受付を開始した、AIガバナンス体制の第三者認証制度です。個別のAIモデルの性能ではなく、組織としてAIをどう管理しているかという仕組みを審査します。
中小企業もC認証の対象になりますか?
対象です。JDLAは「業種・規模を問わず、AIを開発・提供、または業務で利用・導入するすべての法人」を対象としており、自治体その他の公法人も含まれます。認証は法人単位です。
C認証の費用はいくらですか?
公式には金額が公開されていません。JDLAは「費用は企業規模によって異なります」としており、問い合わせフォームから資料をダウンロードして確認する形です。予算を組む前に資料請求が必要です。
C認証を取得するまでどのくらいかかりますか?
コンサルティングを含む申請前準備が1〜2か月程度、JDLAでの審査・認証が最短1か月程度とされています。期日のある商談に間に合わせたい場合は、3か月前から動く前提で考えてください。
認証を取らなくても意味はありますか?
あります。審査の4指標(利用するAIの把握/リスク対応組織の設置/リスクアセスメント/リスク対応)は、そのまま社内のAI利用ルールを点検するチェックリストとして使えます。費用をかけずに着手できるのはこちらです。

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